第21回 10月9日(日) この秋行きたい産地編(浜田市・江津市・隠岐の島町)

この秋産地編では、有機農業に取り組む江津市・浜田市の様子と離島農業に取り組む隠岐の島町の3つの産地からお伝えしました。スタジオからは、島根県の小林さん(右)、吉岡さん(中央)、公社の高橋(左)でお伝えしました。

※産地ツアーこの秋行きたい産地編説明資料(PDF)

最初にご紹介する江津市・浜田市の有機農業の産地について、隣接する両市では、有機野菜を周年栽培する生産者組織『いわみ地方有機野菜の会』が活躍しています。

 

【江津市】
まず一つ目に紹介する地域は、県のほぼ中央部に位置する江津市。江津市では、葉物野菜の有機栽培が盛んに行われています。また特徴的なところではコケの栽培にも取り組んでいます。
葉物野菜は、施設の中で栽培するのですが、種をまいてから大体1ヶ月~2ヶ月で収穫できるようになります。品目を変えながら、一般的には年に6回くらい周年で栽培を繰り返します。
現場の中継は、江津市にある大畑さんのビニールハウスからお伝えしました。

園主 香の宮F&A代表大畑さん(左)、江津市役所の堀江さん(右)

大畑さんは、東京でサラリーマン勤務をされていましたが、平成9年に江津市へUターンして就農されました。現在、140a、50棟のハウスで有機野菜の栽培に取り組んでいて、『いわみ地方有機野菜の会』の会長としてご活躍されています。

Q このハウスの作付状況を教えて下さい
A このハウスでは、水菜、チンゲン菜、ルッコラ、小松菜の4種類を栽培しています。他にもホウレン草、葉ネギ、春菊、ワサビ菜など栽培しています。

Q 栽培でご苦労されている点は?
A 有機野菜は、農薬、化学肥料を一切使わないので、虫対策が重要なポイントになります。ハウスのへりにイヌビユ(雑草)が生えていますが、真ん中には生えていません。害虫を駆除する効果のある太陽熱消毒をしているからです。

Q 大畑さんはなぜサラリーマンをやめて農業を志したのですか?
A 小さい頃から食に携わる仕事に就こうと思っていました。卒業後東京で食品関係の営業をしていて、元々ものを作る仕事が好きだったことや、多くの方との縁があったことがきっかけになりました。

Q 今後の経営の目標を教えてください。
A 農地を増やす事です。コストを抑えることとして、露地栽培に取り組んでみたいと思います。また、現在若い方の受け入れが増える中、立派な農業者になれるように助言を行って行きたいと思います。

Q 有機野菜で新規就農を考えているみなさんにアドバイスをお願いします。
A 大事なのは縁です。しっかり色々な情報を聞いて、まずは体験をしてください。

水菜の収穫作業と試食を行いました。
大畑さん「基本は、ハサミを使い根元から切り、全て手作業で行います。」
堀江さん「採れたてをいただきます!えぐみもなく、とっても美味しいです!」

【浜田市】
2つ目に紹介する浜田市。江津市の隣にあって、島根県西部の中心都市でもあります。浜田市でも有機野菜栽培が盛んに行われているほか、ブドウなどの果樹栽培も取り組まれています。また新しい取り組みとして、初期投資額が比較的少ない有機露地野菜栽培での就農を提案してくため、露地野菜の産地化を連携農家や企業と一緒に進めています。

園主 小松原さん(左)、浜田市役所農林業支援センター川邊さん(右)

小松原さんは、ここ浜田市弥栄地区のご出身です。以前勤められていた土木関係の会社を退職され、平成20年に就農されました。現在は、『いわみ地方有機野菜の会』に所属し。約120aのビニールハウスで有機野葉物野菜を栽培しています。もともと露地野菜の栽培も取り組んでおられましたが、産地拡大の方針を受けて今年度から本格的な参入を開始したところです。

こちらで栽培されているのはブロッコリーです。このように不織布で覆って害虫の侵入を防いでいます。

Q ブロッコリーの作付け状況を教えてください。
A 面積は15aです。9月16日に定植、収穫は、11月の下旬くらいになります。

Q 施設野菜と露地栽培で1番大きな違いを感じるのはどこですか?
A 天候に左右されたり、食害の影響を受けやすいことです。

Q どうして露地野菜部門の拡大を図ろうと思ったのですか?
A ビニールハウスを建設すると投資額が上がってしまいますが、その点、露地栽培の場合は初期投資額も少なくできます。今後の経営を考えてビニールハウスのみだと難しいと思いました。

Q なぜ農業を志されたのですか?
A 農業を始めたきっかけは、地域の土地を守らねばと思ったからです。ビニールハウスばかりでなく、その他の露地栽培も上手に活用して併用して地域の担い手になり、今後、若い人が育ってくれるとありがたいと思います。

Q 有機野菜栽培を選んだ理由を教えて下さい。
A 田舎なので土地がないということがありました。(施設有機野菜栽培は、小面積で集約的な営農が可能。) 農業を知らないところから始め知識も無かったので、いわみ地方有機野菜の会の大畑会長をはじめ、メンバーの先輩方がやっておられるのを見よう見まねでやり始めました。

Q 経営を安定させるまでには、いつ頃のどの時期がどのような点で苦しかったですか?
A 始めて1~3年は、経営を軌道に乗せることができなかったので大変でした。1番はグループのみなさんに認めてもらう事を目標にがむしゃらにやっていました。

Q 産地ツアーご参加のみなさんにメッセージをお願いします。
A どんな仕事でも簡単な仕事はありません。農業においても同じことで全てうまくいく訳ではありません。やる気と元気な人をお待ちしています!楽しく一緒にやりましょう!

【隠岐の島町】

3つ目の地域は、隠岐の島町のご紹介をしました。隠岐の島町での就農プランを2つご提案させていただきました。一つ目のプランは、和牛繁殖経営についてです。隠岐の島町では、古くから放牧地を活用した牛の飼育が盛んな地域です。和牛繁殖経営とは母牛を飼育してそこから生まれた子牛を出荷することで収入を得る産業で、畜産業としては比較的初期投資額が少ないため、個人での参入がしやすい分野となっています。

2つ目のプランは、地元消費向けの施設野菜の生産についてです。隠岐の島町で販売されている野菜の多くは島外から仕入れたものです。そのため、鮮度が劣ったり、完熟しないまま発送した商品が売られたりするケースが少なくありません。そこで、できれば島内のものを食べたいという町民の要望に応えたいと地元のJAでは、隠岐の島町で生産された野菜を検査して、一定の品質やロットが確保されたものを「隠岐育ち」ブランドとして認定する取り組みを行っています。
農業者の様子は、動画でもご紹介しました。

参加者のみなさんからの質問タイム

Q 隠岐の島の施設野菜での就農プランについて、労働時間が3,119時間と長いと感じますが、1人でできますか?
(参考) ※産地ツアーこの秋行きたい産地編説明資料(PDF)
A 農業で1人で完結できる労働時間は、年間の目安として2,000~2,100時間です。提示した経営モデルは、パートや家族経営などの労力や賃金を見込んだ計算となっています。

Q 隠岐の島の放牧地に行ったことがありますが、畜舎はありますか?
A 空き牛舎については、隠岐の島町に限らず各地域で今すぐに見つかる状況ではありません。タイミングが良ければ、空くこともあるという状況です。

Q 就農相談ミニツアーでは、年齢制限がありますか?
A しまね農業振興公社のHPにある就農支援サイトに掲載されている就農相談ミニツアーのチラシに年齢のことが記載されていますのでご参照ください。

以上、江津市・浜田市・隠岐の島町から就農情報をお届けしました。

就農相談ミニツアー、しまね農業体験プログラムでのご来県をお待ちしています!