第19回 7月10日(日)この夏行きたい産地編(大田市・飯南町・津和野町)
島根県は、東西に長く山間部、離島など地域差が大きく、生産される農産物も地域によって多種多様にわたります。この夏行きたい産地編では、この地域差が生み出すそれぞれの産地の特徴や魅力などを3つの園芸産地でご紹介しました。スタジオでは、島根県の小林さん(右)、吉岡さん(中央)から産地概要を説明していただきました。
まず一つ目の産地は、大田市のアスパラガスをご紹介。
大田市のアスパラガスは、現在めざましい勢いで成長中の産地です。新規参入者も多数おられます。また、県下で先駆けて高うね栽培という先進技術が取り入れられています。現地中継は堀さんのアスパラガスのハウスからお伝えしました。堀さんは、大田市の出身で令和3年に新規就農されました。
島根県西部農林水産振興センター北川さん(左)、園主の堀さん(右)
堀さんはリースハウスを利用しての高うね栽培をされています。現在植え付け2年目。毎日、朝晩の収穫作業をされています。下の写真のように農作業用の電動椅子を利用します。
堀さん:高うね栽培は、平うね栽培よりも楽な姿勢で収穫作業を行うことができます。Q ハウスの中はもの凄く暑いですが、体調管理はどのようにされていますか。
A 暑い時間帯をさけ、朝、夕の比較的涼しい時間にします。空調服を着ています。また、だんだんと暑さに身体が慣れていきます。Q アスパラガスで就農したきっかけは?
A アスパラは、作業的に難しくないので比較的取り組みやすいです。また、アスパラガス単品で経営が成り立つのも魅力です。一度定植すれば10年から20年ずっと続けられます。また石見銀山アスパラガス生産組合の方々が歓迎してくれ、この方たちと一緒に働きたいと思いました。Q アスパラガス栽培を始めて、良かった点、苦労されていることは?
A 良かった点は、アスパラガスの選果施設で選別、調整作業を行ってくれるのでその分作業に集中できます。苦労している点は、毎日、朝夕の収穫作業があるため休みがとれないことです。
二つ目の産地は、飯南町のトマト・ミニトマト、パプリカの就農情報をご紹介しました。飯南町は、町全体の標高が400m~500mの高原地帯にあり、昼夜の温度差が大きく夏は涼しいうえ、水がきれいな地域です。そのため、品質のいいトマトが作られています。また需要の高い夏から秋にかけての出荷が可能な点も強みとなっています。充実した定住支援策があることも魅力です。
井上 優さん(左)、井上頼重さん(中央)、島根県東部農林水産振興センター山根さん(右)
現地中継では、井上さんご夫妻のハウスからお伝えしました。井上さんご夫妻は大阪からIターンされ、昨年就農。現在12aの飯南町野リースハウス制度を利用して、トマトやパプリカを栽培するほか、露地で直売用の野菜栽培にも取り組んでいます。この時期は、トマトの誘引作業をされています。作業の軽減をはかっている工夫など、実演をして見せていただきました。
Q このリースハウスは、どのくらいの料金で使用できますか?
A 4棟で年間約30万円です。Q 飯南町で就農することを決めた決め手は?
A 転職を考えていた際、就農相談フェアに参加しました。夫婦の時間を大切にしたいと考え、農業を選びました。、飯南町での農業体験や研修を通じて、飯南町の環境だからできる美味しいトマトを作りたい!と思い決意しました。Q お住まいはどのように探されましたか?
A 町からの紹介で探しました。リースハウスの場所の選定は家の近くを選びました。Q 栽培を行っていない冬場はどんなことをしていますか?
A 昨年は、スキー場でのバイトをしていました。今年度は苗から栽培をしているので、冬の間は育苗の準備をしています。Q 昨年、就農して実際にやってみて初めて分かったことは?
A 研修期間中は栽培にだけ集中していればよかったですが、独立後は、栽培、出荷、草刈りなど色んなことをしなければならないとうことです。特に草刈りは大変です。Q 今後の目標は?
A 独立して2年目、今年は1棟あたりの単収を少しでも多くあげることができるように技術を高めていきたいとおもいます。Q これから飯南町で新規就農を考えているみなさんにアドバイスをお願いします。
A 地域の方との関係づくりが重要です。関係機関、私たちも先輩者として積極的にサポートしていきたいと思います。
三つ目の産地は、津和野町の山菜についての就農情報をお伝えしました。津和野町の特徴は冬に収入のある山菜栽培に取り組んでいることにあります。具体的にはタラの芽やウルイといった山菜を野生のものではなく、畑で栽培する取り組みが行われている珍しい産地です。また、夏の間はその他野菜栽培をされている方が多くおられます。
津和野町は、町単独の就農支援策が充実おり、新規就農者同士の集まりやベテラン農家との交流会などが定期的に開催されるなど安心して農業ができる所です。また、近年UIターンで就農する方が特に多い地域です。
現地中継は、ウルイを栽培している永田さんの畑からお伝えしました。永田さんは、津和野町出身、ウルイなどの山菜の他、ビニールハウスでアスパラガスや葉ワサビ、ホウレンソウ。露地では里芋栽培にも取り組んでおられます。
園主の永田さん(左)、島根県西部農林水産振興センター古川さん(右)
Q ウルイの畑の栽培面積は?
A ウルイは、基本2年栽培です。一年目のウルイが15a、2年目が10aで計25aです。Q 山菜というと野性的で病害虫は少ないイメージですが、どうでしょうか?
A 特有の病気がありますが、非常に少ないと言えます。大きな株になると問題はありあません、どちらかといえば、草にまけるので除草対策には気をつけています。Q 春先に出荷するウルイはこれよりもっと白くて柔らかい芽ですが、どのように栽培するのですか?
A 夏の株は青々としています。秋頃に全て掘りあげてそれを洗い、即製のビニールハウスの中で光りを当てず軟白栽培という形で育てます。イメージはホワイトアスパラのような感じです。Q 夏に野菜を栽培して、冬に山菜の出荷に取り組む新規就農者が多いのはなぜですか
A 津和野町は、雪が多く冬が寒い地域です。夏場は色んな作物が作れますが、冬になると収入源となる作物がありません。そういう意味でウルイ、タラの芽など冬に換金作物になるので、新規就農者が多く取り組まれているということです。Q 農業のやりがいや津和野町で就農するかたへ歓迎のメッセージをお願いします。
A 津和野町は山間地なので平地の農業とは違う山間地でしかできない特色ある農業がたくさんあるところが魅力です。実際に見ていただきたいです。
参加者のみなさんからの質問タイム
Q アスパラガスの出荷調整場は、どのようなことをしていますか。
A (堀さんの場合)自身の冷蔵庫がないため、選果施設の予冷庫を貸してもらっています。収穫したものを予冷庫にいれておけば、選果場でサイズを分けて出荷をしてくれます。Q アスパラガスの露地栽培、ハウス栽培のメリットデメリットは?
A 露地栽培は、病気が出やすく収量がハウスに比べると少ないです。
以上、大田市・飯南町・津和野町から就農情報をお届けしました。
就農相談ミニツアー、しまね農業体験プログラムでのご来県をお待ちしています!